忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「名盤探訪記」完結編



ご覧の通り、見事に甦った「名盤」

磨き直された盤脚も含め、落ち着いた「ロウ」独特の仕上がりとなっている。

ちなみに、盤の仕上げに用いられる「白ロウ」はいくつかの種類もあるようで、
ある地方では、まるで「ウレタン」のような光沢仕上げが成されている盤もある。

まあ、個人の好みにもよるが、筆者はあまりテカテカした鏡面仕上げよりも、
このような木味を殺さない「ニブイ」光沢の方が好みである。

「ロウ」は後々、白く粉をふく事があるが、
通常の手入れは「撫でる」ような感覚の拭き取りだけで良い。

ただし、盤面については、まだ対局に使用する前までなら上記方法で良いが、
「デビュー」に際しては、しっかりとロウを拭き取られる事をオススメしたい。

ロウが残ったままの盤面では駒の滑りも悪く、何より駒自体をも汚してしまう。

また、指しキズが入った後に乾拭きすると、残ったロウがキズに入り込んでしまい、
拭き取っても取れないような跡になって残ってしまう事にもなる。

かと言って、それをドライヤーなどで溶かして除去しようものなら、
溶けたロウがキズから浸透し、ますます状況は悪化。

ついには本職の盤師の元へ「ご入院」という事になってしまうので、くれぐれもご注意を。

一度焼き込みされた「ロウ」は、かなり強く磨いても完全に除去される事はない。
「盤面にはワザとロウ引きしない」なんて話も聞いた事があるくらいである。

まあ、全くロウ引きしないのはともかくとして、
盤面は、それくらいしっかりとした「ロウ」の拭き取りが肝要だと筆者は考えている。


ところで、この「銘盤」の揮毫部分は、残念ながら今回は割愛させて頂くが、
代わりに、特別に許可を頂いた「永世名人」2名による掛け軸を掲載。
そこで、あたかも「対局室」のような雰囲気を再現させてみた。

この甦った盤なら、今後のプロ棋戦などに登場しても、まったく遜色ないハズである。
まあ、筆者が製作した盤ではないが、「手直し」をさせて頂けただけ愛着も一塩だ。

いつの日か、再び「タイトル戦」などに登場される事を心から祈念したい。

プロ棋士の先生方、機会がございましたら、何卒よろしくお願いいたします!(笑)

拍手[7回]

PR

「名盤探訪記」5



写真は当該盤の「ヘソ」
彫りもなかなか丁寧で、深さもあり、筆者好みの雰囲気である。

中央の先端部は平面造り。
筆者は尖った造りが好みだが、ある地方ではこのタイプも多いようだ。

盤裏は、揮毫の為に鉋がけしたままの状態なので、ヘソ部のみロウが残っている。
ヘソ部のロウは、初め全体に施されていたが、木口のみを再ロウ引き作業にて処理完了。

盤裏には、ご覧の通り「アタリキズ」も見受けられる。

通常、このままロウ施工すると、キズからロウが浸透してしまい、
仕上がり的にも良くないとされるが、これももはや仕方の無いところ。
同じ理屈で、指しキズが入った状態の盤面にも、ロウ引きはご法度である。

揮毫部分は、通常の作業とは異なり、ロウを「引いて」はいけない。
揮毫を傷つけないように、上から「ポン、ポン」と軽く押さえるようにするのが定跡である。

磨き終えた「盤脚」も差込み、平坦な場所にて盤全体のガタつき具合もチェック。
側面四方への再ロウ引きも完了し、ついに職人は「御役御免」である。

次回、いよいよ甦った「名盤」を掲載!
はたして、その鑑定や如何に?


拍手[5回]

「名盤探訪記」4



当該盤の脚は「オオイレ」式である。

この「オオイレ」式こそ高級盤の証であると言う説もあるようだが、
盤脚を、盤裏に隙間なくキッチリと密着させる技術は中々容易ではない。
その為「オオイレは誤魔化し」と評する職人もいるようだ。

元々、建築用語である「大入れ(オオイレ)」は、床柱などを接合させる上で、
接合面の見た目をキレイに見せる為の、言わば「逃げ技法」である。

実際、上記「オオイレ」の写真には、前回の盤脚の接着剤が流れた跡も残っている。
もしそれが、このような接着剤を隠す為の「オオイレ」だとするならば、
「誤魔化し」と言うのも、あながちウソではないようにも思えてくる。

たしかに「脚」を外す時には、キズを気にせず便利?な面もあるかもしれない。
その真意は定かではないが、いずれにしても筆者はあまり興味に感じていない。
まあ、最終的には職人の志向や、個人の好み次第と言ったところだろうか。

ところで当該盤の脚には、小さなアタリ傷も多数散見された。

本来ならペーパーで研ぎ出しまで行いたかったところだが、
時間の都合もあり、それはあえて割愛させて頂く。
ホコリと汚れを丁寧に除去し、再度のロウ引きにて終了である。

脚や盤本体の古いロウ落としには「ドライヤー」を使用。
先に紹介した、ロウの「ヒビ割れ」もキレイに除去され、
いよいよ盤本体の再ロウ引き作業開始!

まずは盤裏の「揮毫」部分から。

このショーモナイ?連載も、そろそろクライマックスです。
どうぞ、最後までお付き合い下さい(笑)

拍手[10回]

「名盤探訪記」3




写真は、外された「盤脚」

実は、この脚のホゾには「接着剤」の塊が付着していたのである。

一般に「マズイ」とされている盤脚には、その精巧な寸法合わせが難しい為か、
ホゾ穴に「詰め物」をして大きさを調整しているものなども見受けられるが、
稀に、このような「接着剤」による接合脚も存在するのである。

それにしても、これほどの「名盤」なのに、周辺の造りはなんともお粗末ではないか!

「盤脚」の取付けは、言わば「指物」の技術である。

「指物」とは、クギや接着剤などを一切使用せず、
その精巧な組み木だけで材を接合させる、大変に高等な技術だ。

かと言って、その技術を応用し、ホゾ自体を「末広がり」の形状に造り、
脚を外す事が出来ないようにしている盤もあるが、これもタブーである。

確かに「盤脚」は頻繁に外すようなところではない。

だからと言って、脚を全く外す事が出来ないような造りであったり、
見えないところだと「詰め物」をしているような造りでは、いかにも興ざめである。

筆者は以前、正しい「ホゾ」の在り方を以下のように習った事がある。

「ホゾ」や「ホゾ穴」は真っ直ぐに彫り、お互いをしっかりと密着させる事。
その時、「ホゾ」の幅は「ホゾ穴」に対して若干狭くし、微量な隙間をもたせておく。
そうする事で、脚を外す時の左右方向への「コネリ」を可能にしているのだと言う。

それは決して「揮毫」の為ではなく、万一の「修理」の為には必要な事であるし、
イザと言う時に盤脚が外せる造りが成されている盤は、職人の正しき配慮だと思う。

ただし、その「コネリ」には細心の注意も必要。
盤裏を脚の剣先でキズ付けないように、その微量な力加減が難しい。

もしかしたら「オオイレ」とは、この為にあるのだろうか?
と言う事で、次回は「オオイレ」について。

拍手[7回]

「名盤探訪記」2



写真は盤の現状の状態。

木味の大変素晴らしい、相当な極上盤である事がお分かり頂けるだろう。

しかし、白く硬化した「ロウ」のムラは、もはや乾拭きだけでは除去出来ず、
木口下部には水濡れによる「シラタ」のようなシミも見られる。
盤脚も、ご覧の通りホコリで真っ白である。



さらには、不均等なロウ引きから塊になった部分がひび割れ、
剥がれた「ロウ」の下から木肌が覗いているという、なんとも悲惨な状態だ。

筆者がこの盤に出会ったのは、まさしく「縁」である。

まあ「職人登場」といっても、特に専門的な作業をする訳ではないが、
一応、本職の方からの指導を受けた初歩的な盤師の技術ではある。

初めは揮毫の保護も含め、簡易的に本体の「ロウ引き直し」のみを行う予定だったが、
折角の「名盤」であるのと、持ち前の筆者の凝り性?もあって盤脚も外す事になった。

しかし、ソコでも新事実が判明!

次回は「盤脚」における職人の思想の違いについて。

拍手[5回]

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

プロフィール

【管理人】
歩兵

【趣味】
将棋全般・カメラ・書道

【自己紹介】
将棋盤・駒・棋具に精通?
几帳面な性格?のO型。
愛機はD300(Nikon)


←☆管理人へメール☆

PR

最新コメント

[09/17 秋吉]
[09/16 hisanobu etou]
[09/05 まるちゃん]

最新トラックバック

ブログ内検索

※当サイトに掲載されている記事や 写真等の無断使用は禁止致します。

バーコード

アクセス解析

忍者アナライズ