写真は、外された「盤脚」
実は、この脚のホゾには「接着剤」の塊が付着していたのである。
一般に「マズイ」とされている盤脚には、その精巧な寸法合わせが難しい為か、
ホゾ穴に「詰め物」をして大きさを調整しているものなども見受けられるが、
稀に、このような「接着剤」による接合脚も存在するのである。
それにしても、これほどの「名盤」なのに、周辺の造りはなんともお粗末ではないか!
「盤脚」の取付けは、言わば「指物」の技術である。
「指物」とは、クギや接着剤などを一切使用せず、
その精巧な組み木だけで材を接合させる、大変に高等な技術だ。
かと言って、その技術を応用し、ホゾ自体を「末広がり」の形状に造り、
脚を外す事が出来ないようにしている盤もあるが、これもタブーである。
確かに「盤脚」は頻繁に外すようなところではない。
だからと言って、脚を全く外す事が出来ないような造りであったり、
見えないところだと「詰め物」をしているような造りでは、いかにも興ざめである。
筆者は以前、正しい「ホゾ」の在り方を以下のように習った事がある。
「ホゾ」や「ホゾ穴」は真っ直ぐに彫り、お互いをしっかりと密着させる事。
その時、「ホゾ」の幅は「ホゾ穴」に対して若干狭くし、微量な隙間をもたせておく。
そうする事で、脚を外す時の左右方向への「コネリ」を可能にしているのだと言う。
それは決して「揮毫」の為ではなく、万一の「修理」の為には必要な事であるし、
イザと言う時に盤脚が外せる造りが成されている盤は、職人の正しき配慮だと思う。
ただし、その「コネリ」には細心の注意も必要。
盤裏を脚の剣先でキズ付けないように、その微量な力加減が難しい。
もしかしたら「オオイレ」とは、この為にあるのだろうか?
と言う事で、次回は「オオイレ」について。
[7回]
PR