「“虚栄”は私が最も好む罪だ」
「ディア・ボロス」原題=“The Devil's Advocate”という映画での、アル・パチーノの台詞。
筆者は、昔からこの映画が好きで、特にこの台詞が印象に残っている。
「“虚栄”は私が最も好む罪だ」
「それこそ人間の本質、自己愛、天の与えた阿片(麻薬)だ」
虚栄は、良い意味では「糧」であり、人間の成長には不可欠な要素である。
事実、成功者には虚栄心の強い方も多く、そのエネルギーがあってこその成功とも言えるだろう。
しかし、場合によっては、それが“毒”にも成りかねないから難しいところだ。
一般的に「コレクター」と言われる人達は、概ね虚栄心が強い印象にある。
特に、棋具美術の世界では、これが顕著に表れているように筆者は感じている。
これが“自己愛”という意味での虚栄なら、筆者にも間々あるだろう。
しかし、その虚栄を“張る”という行為が、筆者は自他共に苦手なのである。
筆者は、どちらかと言うと「お先にどうぞ」的な感覚で、自身の強い押し出しは好まない。
むしろ、感覚自体が少し異質なので、意識の伝達は難しいだろうとさえ思っている。
筆者はこれまで、本ブログを通じて、自身の棋具に対する想いや接し方などを様々に紹介してきた。
自身が感じた事や、好み・志向に至るまで、余すところ無く発信してきたつもりである。
今回、あえて筆者に虚栄を張らせて頂けるならば、筆者はこの世界での“役目”を既に終えたと思っている。
したがって、突然ではありますが、今回をもって本ブログを終了とさせて頂きます。
元々は、日頃の将棋環境に華を持たせたい意図から足を踏み入れたこの世界である。
これまで、メールやコメントなどで、多くの励ましや共感を頂けたのは大変光栄な事だったが、
逆に、反論意見をほとんど頂けなかった事が意外で、寂しくもあり、少々残念だった。
まあ、きっとこんな酔っ払いの戯言は相手にされなかったいうのが本当のところだろうが、
その間には、多くの職人などとの素晴らしいご縁も授かり、これは今となっては貴重な財産となっている。
今後は、「プレイヤー」としての将棋を楽しみ、普及活動にも努めていきたいと思う。
また、自身が所有する棋具を生涯の友として愛しみ、棋力向上に精進したいと考えている。
これまで、長い間ご精読を頂きました方々に、心より感謝と御礼を申し上げます。
また、どこかでお会いしましょう。
以上、ここまで、ここを過ぎず。
「歩のひとりある記」 完
[24回]
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