「助からないと思っても、助かっている」
ある有名人のお宅に掛かる額書。
知り合いの書道家に依頼して、特別に揮毫して頂いたそうである。
この言葉は、かの大山十五世名人が、かつての升田幸三全盛(三冠王)時代に、
後援者の方から復活を祈念して贈られたという、陶芸家・河井寛次郎氏の陶板作品に
刻まれている言葉である。
将棋に限らず、世間の厳しい荒波の中を生きてゆく上では、時として様々な苦境に遭遇する。
そんな苦境の中でも、最後まで決して勝負を諦めてはならないという戒めの意もあり、
単純な言葉だが、まさに「一灯闇を破る」精神を奮い立たせてくれるような名言であろう。
ところで昨今の景気情勢では、幾分かの持直し基調も見られ始めたものの、
まだまだ本格的な回復までには至らず、依然として混迷を続けているのが現状である。
米国では先月、とうとうGMは「助からなかった」
日本でも年初より多数の企業倒産も散見し、「助かっている」企業もあれと言えども、
工場閉鎖や人員削減など、多大なる犠牲を伴いながらの未だ不安定な状況と言えよう。
米欧の景気回復に力強さが欠ける中、最近では中国経済の回復に期待感が高まっている。
中国への輸出増加で局面転換を図る日本企業も少なくないと言う。
先行きへの不透明感が晴れない昨今の日本経済だが、今後の中国経済の行く末に、
完全なる「助からないと思っても、助かっている」と思える日は来るのだろうか?
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