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「ヘソ」

囲碁や将棋の脚付き盤の裏には「ヘソ」と呼ばれる彫り込みがある。
「ヘソ」は別名「音受け」とも言われるが、実際は盤材の「呼吸」が主な目的である。

その昔、勝負の最中に横から口出しした者の首をハネて、
その生首を、裏返しにした盤の上に置いた『血溜り』と言う説もあるが、
筆者は、この手のオカルト的な話は信じていない(笑)

完全乾燥材とは言え、加工されてもなお盤材は生きて(呼吸して)いる。
木材は呼吸する事で、その環境対応により「ワレ」や「歪み」を引き起こしてしまう。

そのため完成した盤には、その呼吸を止める「ロウ引き」の仕上げが施されているわけだが、
「ヘソ」が、その唯一の空気穴的な役割を担っていると言われている。
やはり完全に呼吸を止めてしまっては、木も窒息してしまうと言うことだろうか?

この「ヘソ」には、「大きさ」や「深さ」「形状」など、
職人によって、それぞれに異なった特徴が見られるのも面白い。

特に「ヘソ」部のロウ引きについては、全くされなかったり全部に施したり様々だ。

「ヘソ」部全体をロウで塞いでしまっては、盤の「呼吸」が全く出来なくなってしまう。
かと言って全くロウを施さないのも、「呼吸」の激しい木口面からワレが生じる恐れもある。
正着は「ヘソ」の木口面にのみロウ引きを施し、柾目面にはしないのが一般的である。

昨今では榧材の貴重さからの恐れ?なのか、
その「ヘソ」の深さに於いても、比較的浅い彫りが多いように思う。

しかし筆者は、写真のように彫りの深い、鋭く尖った迫力のある「ヘソ」が好みである。

一般的に「ヘソ」は日常的に目に触れられる部分ではないが、
本来の目的(呼吸)を効率的に機能する為には、かく形状であるべきではないか。

これこそが「ヘソ」の奥義?であろうと筆者は思っている。

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「朝青龍伝説」

「あなたは最高に強かった!!」

「「運命」の電撃引退!平成の大横綱朝青龍伝説」

このフレーズに負けて、コンビニで思わず購入してしまった雑誌。
興味深い記事も多く、なかなか楽しめる面白い内容だった。

今月より大相撲春場所が開幕するが、これまでの処罰による「休場」とは違い、
二度とあの迫力相撲が観られないのかと思うと、誠に寂しい思いである。

雑誌を読み終えて改めて思う事は、今回の件に於ける部屋や協会など側近の責任。

忘れてはならないが、彼は「外国人」である。
異文化の国より、強靭なハングリー魂を持ってのし上がってきた男である。

史上最速のスピードで昇進し勝ち進む彼に、周辺環境も甘い対応になり、
最低限の日本のルールや業界のしきたりすらも指導してこなかったのではないか。

一方でその周辺筋は、これまで興行面でも大きな恩恵を受けてきたハズである。
結局、彼は「客寄せパンダ」的な順路をたどらされただけなのかも知れない。

人間は環境の産物である。
15歳で来日した彼は、指導不足から子供がそのまま大人になっただけのように思う。

彼のズバ抜けた身体能力を惜しむ声は多い。

文中にて、大仁田厚氏のコメント。
「1年間休んで、また土俵に帰って来ればいい」

気持ちは分かるが、さすがにそれは無理であろう(笑)

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「根性の銀」

「将棋界の一番長い日」ことA級順位戦最終局は、武蔵・三浦八段の優勝にて幕を閉じた。

三浦八段にとっては棋聖戦以来のタイトル戦登場で、しかも2日制は初めての経験である。
果たして4月からの名人戦七番勝負では、再び武蔵パワー爆発となるのか?
いずれにしても、前回の棋聖戦をも凌ぐ好勝負を期待したいところである。

その他の対局では、谷川「光速」流が、リーグ後半3連敗でまさかの「失速」流。
最終局も、終盤に一旦受けていれば勝ちそうに感じたが、無念の敗退となった。

一方の勝利した高橋九段は、プレーオフ権利を獲得!
もし三浦八段が敗れれば、兄弟子・米長邦雄に並ぶ50歳名人の可能性も見せた。

佐藤康光九段は会心の指しまわし!
なぜ、こんな将棋を指せる人が今回陥落してしまったのだろう?
今更ながら、A級の超人達とは末恐ろしい集団である。

ところで、今回筆者がもっとも印象に残った一手が、井上×木村戦の87手目▲6八銀。

まさしく順位戦を象徴するような一手で、見た瞬間、思わず発叫してしまった!
これぞ鍛えの入った「根性の銀!」と言えるだろう。

ちなみに、今回の郷田×三浦戦で使用されていた駒(秀峰作・錦旗)は素晴らしかった。

谷川×高橋戦で使用されていた駒も、おそらく影水作・(源兵衛)清安ではないかと察したが、
あくまでもテレビ(写真)映りの感覚では、筆者はこの秀峰作の方が印象的だった。
これは、おそらく正月番組の「大逆転将棋」にも登場していた駒ではなかったか。

まあ、こんな事ばかりに興味を示している筆者もまた「アイカワラズ」である。。。

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「歩兵2」

関西(の一部)では、歩兵のことを「ひょこ」と言う。

その語源は不明だが、「『ひょこ』っと現れる」などの言葉に汎用されるように、
なんとも抽象的で洒落っ気あるネーミングではないだろうか。

「焦点の歩」「叩きの歩」「垂れ歩」など、歩兵ならではの厳しい手筋も多いが、
それらを総括して称される「手裏剣」などは、筆者が最も好むネーミングである。

「手裏剣一発!」とばかりに、盤上に絶妙の歩を打ち込む瞬間は真に快感であり、
この感動も「バーチャル将棋」では味わえない、指し将棋の大きな醍醐味と言えよう。

前回の記事でも、「一歩千金」や「歩の無い将棋は負け将棋」などの格言に触れたが、
いちばん安くも数多きこの駒は、ほとんどが「犠牲」という儚き運命を辿る事となる。

しかし、北島三郎先生の御唄「歩」の中に、その本音は宿る。

「歩には歩なりの意地がある」
「いつかと金で大あばれ」

いやはや、まさしく「歩兵」はこんな気持ちなのだろう。

「世間歩が無きゃ成り立たぬ」

これには「言い得て妙!」と拍手を送りたい(笑)

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「将棋の普及」

昨年11月より本年2月に渡り「将棋普及サミット」が全国10都市にて開催された。

筆者も参加させて頂いたが、各地区の支部長さんや道場経営者の方々などにより、
連盟側と、将棋の普及に対する積極的な意見交換が行われていた。

将棋は日本の伝統的な文化であり、礼節を学ぶという意味でも格好の題材である。
しかし、一方では「大衆娯楽」であるという一面も忘れてはならない。

「娯楽」には「楽しさ」が大事であり、この「楽しさ」こそが普及の源である。

現代では、生活の向上や社会文明の進歩などにより「娯楽」も多様化が進んでいる。
将棋界にとって、これは少なからずともマイナスに起因している事は間違いないだろう。

その代表的なものが「デジタル」社会である。

この「デジタル」社会は「バーチャル」という仮想世界を生み出し、
一見すると将棋界にも、普及などに大きな利点をもたらしていると思われがちだが、
筆者は「バーチャル」では、将棋の持つ魅力の本質は伝えきれないだろうと感じている。

「将棋」というゲームは、実に独特な魅力を秘めている。

実際に盤と駒を使用して、駒音を響かせる快感はその代表的なものであり、
対戦相手を目の前に、ボヤキがあったり、時には得意なる視線を送ることもある(笑)
一喜一憂の様々な挙動や感情が、盤側で体感的に交錯することに大きな醍醐味がある。
また上達してくると、所作や道具の質にも関心が及ぶこともあるだろう。

これは「バーチャル」の世界では決して実感出来ない要素である。

「バーチャル」な世界は、浸透も早いが冷めるのも早い。
一方、体感で覚えたものは脳に強く記憶され、長く生き続けるのである。

子供においても、野球少年が新しいバットやグローブを欲しがるように、
将棋少年(少女)が、将棋盤と駒を欲しがるようにならなければいけない。

実際に盤・駒を使用して、将棋を指す喜びや快感を伝える事こそが真の普及である。
将棋は「アナログ」にこそ、その大きな魅力を秘めるのではないかと思っている。

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【管理人】
歩兵

【趣味】
将棋全般・カメラ・書道

【自己紹介】
将棋盤・駒・棋具に精通?
几帳面な性格?のO型。
愛機はD300(Nikon)


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