数ある駒書体の中で、もっともポピュラーと言われるのが「錦旗」である。
この書体は「水無瀬」とならび、筆者のいちばん好みの書体だ。
俗に「錦旗に始まり錦旗に終わる」という言葉もあるが、
これは駒作者とコレクターに共通して言える定説?ではないだろうか。
当然ながら「菱湖」や「清安(系)」も上記と含め「四大書体」として親しまれるが、
あくまでも統計的な見解であり、このあたりは個人的な好みの問題とも言えよう。
一般的には「錦旗」は地味であり、華やかさという意味では「菱湖」に劣るかもしれない。
しかし「美人は3日で飽きる」など、今ではほとんど死語?のような言葉に抽象すれば、
個人的には盤上で長時間凝視したり、長期間に渡って使い続ける上では、
誠に飽きの来ない優れた書体であるように感じている。
かの「影水」は、この「錦旗」にも独自の派手なアレンジを試みて完成させたが、
「菱湖」などとは趣が異なり、筆者はあまり好みに感じていない。
写真の「錦旗」は書体のみならず、落ち着いた木地やその盛上げ漆の表情など、
総合的に筆者の個人的な用途や好みに合致した、まさしく感動的な作品である。
この駒で、中盤に王将や金将を「スッ」っと囲いに寄せる雰囲気はたまらない!
まさしく筆者の変態的な?落ち着く至福のひとときである。
しかし純粋に将棋を楽しみ棋力の高い人には、書体など無縁な観点なのかもしれない。
筆者の場合も、指し手の善悪が別問題なのは言うまでもない(笑)
[9回]
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