15年ほど前に、天童に行った時に購入した彫埋め駒。
平成一桁時代、まだまだ世間の景気が良かった頃である。
当時の筆者は盛上げ駒こそ1組所有していたが、駒にはそれほど造詣がなく、
「ここらで少し模様(斑・杢)のある駒が欲しいな」くらいの感覚だった。
色々拝見していると、お店の方より、
「この駒は良い木地ですよ」
「大阪あたりなら20万くらいするでしょう」
と言われ、紹介されたのが写真の駒。当時の価格は15万円だった。
新品時の駒はまだ白っぽく、クッキリとした柾目が単純にキレイだった。
見ているとだんだんその柾目の清涼感に惹かれ、結局この駒に決めた。
それから現在まで使い込んできたこの駒は、適度な飴色に育った。
今にして思うと、この駒は「赤柾」とは言えないまでも上質の柾目だったと思う。
さらに「大阪で20万」と言われたので、浮いた?5万で駒箱も購入。
駒を柾目にしたので、駒箱は当時初めて見た派手な材を選んだ。
こちらも後年に判明した事だが、駒箱は天童の吉田宏介師の作品(タモ材)だった。
当ブログの初回記事「ご挨拶」の写真右端の駒箱がそれで、
今にして思うと、「タモ」の中でも杢目の詰んだ中々の良材である。
その後、「棋道」から脱線?して「棋具道」へと転換してしまった自分だが、
「将棋」に愛情をもって取り組んでいる事に間違いはない。
当時、ロクな知識もなく購入した棋具だが、天童の良いお店にも恵まれ、
現在でも大切に思えるのは、今にして思うと大変幸運な事である。
これはきっと、将棋の神様の御計らいに違いない(笑)
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