日向榧天地柾極上盤。
日向産で、これほどまで総アテのきいた天地柾は他に類を見ない。
天面も、均等で真っ直ぐなキレイな柾目の、正に完全無欠!!
30~40年前に伐採された原木から製作された、素晴らしい極上盤である。
駒台も名人指物師作の極上品。楓杢に拭き漆仕上げの素晴らしい作品だ。
盤厚は六寸二分ほどで、
近年のタイトル戦には、概ね七寸盤クラスが使用されている事を考慮すると
若干物足りないと思われがちだが、標準的な日本人体型が対局をするには
実際、これくらいの高さが丁度良いものである。
実は以前、光栄にもこの盤にて対局させて頂く機会を得た。
駒はなんと、あの羽生先生もタイトル戦で使用した盛上げ駒である。
盤前に正座し、目を閉じて、静かに呼吸を整える。
均整のとれた、駒のうっすらとした虎斑模様が、赤味の効いた盤上の素直な柾目と調和し、
何とも感動的な景観である。
指を出し、駒をつまんで、スッっと駒頭から盤上に軽く押さえるように指すと、
「パチッ」っと小気味良い音が鳴る。
まるで「堅さ」を感じさせない盤上への駒の着地感は、
さすがは「絹の指し味」と言ったところか。
美しい奥様に出して頂いたお茶菓子に舌鼓しながら、気分はすっかり「タイトル戦」てな感じで
考慮中、ふと、今日はジーンズをはいていた自分に気付く。
「ああ、せめてスーツで来ればよかったなぁ・・。」
とは言え、その後も盤・駒の魅力に陶酔しながら、一手一手の指し心地を楽しむ。
「ああ、この飛車で、羽生先生があの一手を指したのか・・。」
「あの局面で、この角をグリグリっと打ち付けたんだなぁ・・・。」
・・などと考えながらの対局結果は、見事な敗局であった事は言うまでもない。。。
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