駒木地ではスッキリとした柾目系や薄斑が入る程度など、
比較的地味でおとなしい木地を好む自分だが、
逆に盤材では、日向榧のアテのような派手な木味の方が好みで、
駒台や駒箱にも同様の感を持っている。
駒台や駒箱には様々な銘木材が使用されるが、中でも「黒柿」材など、
孔雀杢の何万本に1本しか表れないという希少性も含めて考えると、
まさしく最高級品に位置付けられるのではないだろうか。
しかし、筆者が個人的に一番好きな盤側材は「島桑」である。
「島桑」の最大の魅力は、杢の木味もさる事ながら、
何と言ってもその美しい「テリ」にある。
盤側に合わせた「島桑」の木味は、まさしく王道の貫禄があり、
その美しい木肌は長期に渡り使用していても全く飽きがこない。
それどころか経年の愛用でだんだんと色合いも濃くなってゆき、
真新しい木肌の頃の「テリ」は隠れてしまう事なく、
新品時とはまた違った、なんとも奥ゆかしい味わいを魅せてくれるのである。
この多少色濃くなった木味の方が個人的には好みでもある。
写真の駒箱はまだまだ新しい木味だが、駒や駒台同様に、
乾拭きするなど自分好みの木肌に育てていきたいと思っている。
余談だが、この駒箱の愛用過程で最も気を付けなければいけないのが
「カマエ」部の日焼け。
真夏の女性の水着痕のように、百年の恋も冷めてしまいかねないのでご注意を!
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