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「職人」

遠い遠い昔、我が家系のご先祖様は「鍛冶職人」だったと聞く。
しかし、年代的にも当時の鍛冶屋は「人を殺める道具を作る者」として、
あまり評判の良い仕事とはされていなかったそうである。

その後の明治初期~末期頃だろうか、今度は「欄間(らんま)職人」となり、
一家は細々と生計を立てていたと言う。

実際、昭和中期に本家の古家を増改築した際、納屋の奥などから、
変わった形のノミやカンナなどが多数出てきたそうだ。

筆者にも、その家系的には「職人」の血が流れている。
自身の職人好きな性格や意外な器用さ?は、この血筋によるもの?かもしれないが、
残念ながら現在、我が家系には「職人」と呼べる人物はいない。

日本の高度成長に伴い様々な分野の機械化も進み、やむない職人達は技術を捨て、
会社勤めのサラリーマンへと転化していってしまったのだろうか。

現在「職人」の世界では、どの分野でも後継者不足に頭を悩ませている。
後進を育てる行為を怠った先人の罪か、はたまた機械化に溺れた現代人の罪か。。。

かく言う筆者も機械化に溺れた現代人のひとりだが、写真のような盛上げ漆の
立体感や質感、柔らかな味わいなどは、いかに優れた現代の最新コンピューター
機器をもってしても決して表現する事は出来ない、人業ならではの技だと思っている。

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「圧巻の盤」



日向榧天柾七寸盤。
目詰まりも細くアテ具合も大変美しい、まさしく極上盤である。

天面は9筋半分を除いて、日向榧らしいクッキリとした鮮明な柾目で、
もちろん無傷・無難である。

知人の所蔵する盤だが、近い将来プロのタイトル戦にも登場する機会が
訪れるであろう、今からが大変楽しみな至宝と言えよう。

写真の盤のような目の詰んだ良質の日向榧が生育される土壌は、
人が容易に足を踏み入れる事が出来ないほどの深い山中であると言われる。
当然ながら重機などの車両が進入する道もある訳が無く、ヘリコプターなどで
中出しを行うが、このようなコスト面も材の価格に反映されているのである。

南九州の人気も寄らない山奥深く、硬い岩盤質の土壌と大自然の厳しさに、
数百年の長きに渡りじっくりと鍛えられながら生育してきた、このロマン!

同時に我々「棋具」ファンは、その偉大なる恩恵に感謝しなくてはなりません。

合掌!(?)

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名人戦 第四局!

名人戦七番勝負、天王山の第四局。

舞台は約60年前の「高野山の決戦」で知られ、将棋史のターニングポイントとも言える
升田七段×大山八段の歴史的な大決戦が繰り広げられた因縁?の地である。

升田先生の「錯覚いけない、よく見るよろし」の台詞は、将棋ファンにはあまりにも有名で、
あの第三局、もし▲5七桂で升田七段が勝利されていたら、その後の将棋界の勢力図は、
大きく塗り変えられていたかも知れないとまで語られている。

その対局を意識されてか、羽生名人の初手は▲2六歩。
このあたり、サービス精神に富まれた名人の絶妙な配慮?と言えるのではないだろうか。
しかし、さすがに終盤の「錯覚」までサービスという訳にはいかないでしょうね(笑)

今回の封じ手の本命は「▲2五銀」
長考の末の封じ手なので、おそらく大決戦の先を読まれた本手と予想されるが、
筆者の(穴狙いの)応募手は▲1六歩の自重。

「やっぱ、無理はやめよう」「一晩考えてみよう」という逆の読みだが、
高野山の決戦らしく?おそらく「錯覚」となるでしょう(笑)

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「魔性の駒」



熱心な将棋ファンの方なら、この駒はご存知ではないだろうか?

御蔵島黄楊赤柾虎斑・大竹竹風作・菱湖書・盛上げ駒。
そう、50年に一度の大逆転と言われた昨年の名人戦第三局、
森内名人×羽生挑戦者の舞台に登場し、あの「▲9八銀」の大悪手を生んだ、
まさしく魔性?の駒である。
今回、所有者の方の特別な許可を得て掲載させて頂いた。



それにしても竹風師の駒木地は、抜群に揃いが良い。
反面、書体の文字が比較的単調な感もあるので、その作風には
賛否両論あるところだが、木地の質や盛上げの技術・美しさでは、
まさしく「巨匠」と呼ぶに相応しい名職人であると言えよう。

筆者は、光栄にもこの駒で対局させて頂いた事もあるが、
さすがは「魔性の駒」!あっさり負けてしまったのでした。。。
(駒のせいにしてはいけません!)

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「夭折の天才」




某・料理屋のご主人が所蔵される、コレクター憧れの「影水」

文字の剣先など若干漆のカケも見られるが、ほとんど使用はされておらず、
状態としては大変良いものである。
作風からしても、影水全盛期の作品と推測されるだろう。

木地は赤木地で良いものだが、「木口取り」なのが残念なトコロ。
しかしこのあたりは、個人的なスキズキによるものと言えようか。

影水作品は、必ずしも全てが影水本人の仕事ではない駒もある。
写真の駒は、おそらく全てが影水の仕事であるのかもしれないが、
筆者所有の影水駒は、若干ではあるが彫埋めに沿った盛上げがなされていない部分もあり、
あるいはこの駒の彫りは、当時影水の彫りを担った事もあると言われる
「静山」の仕事だったのかもしれない。

今となっては確認する手立ては何も無いので、静山ファンの自分としては、
単に「そうであって欲しい!」と願い、勝手に思い込むだけである(笑)

夭折(ようせつ)の天才。。。
天才とは、その亡き後に偉業が評価される場合もある。
生前の影水駒は、決して特別に高価な駒ではなかったような話も聞く。
影水への加熱したその評価は、ある意味「無いものは欲しい」という
人間のエゴイズムが生んだ側面も持ち合わせているのかもしれない。

ちなみに、筆者の知人にも「ヨウセツの天才」がいる。
亡くなる訳でもなく、毎日元気に板金溶接(ようせつ)に励んでおられます!

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将棋全般・カメラ・書道

【自己紹介】
将棋盤・駒・棋具に精通?
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愛機はD300(Nikon)


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