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「太刀盛り」

碁盤や将棋盤の升目は、高級品には「漆」が用いられている。
その「漆」にも産地など品質の差もあり、やはり国産が最高級とされている。

国産漆が高価とされる要因は、ひとつは生産者の減少にある。
ここでも職人の世界同様、「後継者不足」に頭を痛めている所以であろう。

もうひとつは、国産ならではの「伸びの良さ」があげられる。
「お米」は、その産地(の水)で炊いたものが一番うまいとされるのと同様に、
国内で採取する「漆」は、その国の湿度などの気候にもなじみ、
「漆」本来の良さを、存分に発揮できるからであると言われている。

写真は、その国産本黒漆を使用した「太刀盛り」風景。
太刀はその刃を潰してあり、残るその精巧な直性を利用し直線を引く。
湾曲面は、刃が離れる際に漆を引っ張り、美しく線を盛上げるという仕組みである。

間近でみているとあっと言う間なので、誰でも簡単に出来そうに感じるが、
刀を入れてから離れるまで息を止め、横ブレしないように均等のスピードで
盛り終えるその繊細さは、さすがに熟練された職人技である。
実際、この作業の前日には、手の震えを予防する為に力仕事は避けられる。
将棋盤でこの苦労なら、碁盤ではさらに神経を疲労する大変な技術だろう。

盛り上げ駒と同様に、盤の升目も歴戦の使用により磨耗していく。
しかし残念ながら、現在この「太刀盛り」を継承する若い職人は希少である。

升目さえあれば、ゲームとしては囲碁も将棋も十分楽しめるものだが、
本漆で盛られたその美しい直線や光沢の魅力も、日本ならではの文化である。

「職人末期時代」と言われる現世に生きる我々は、大変に幸運なのかもしれない。。。


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「女流棋士」

連盟のHPにて「女流棋士会分裂の経緯・公式見解」が公開されている。
まずもって、女流棋士が無給・無保険であることは知らなかった。

あまり経緯等を把握していないので、詳細は理解出来ていないが、
この件について、勝手ながら個人的な感想を述べさせて頂きたい。

まず、「奨励会三段リーグを卒業した者を正会員とする」という連盟の意見は当然である。
近年でこそ、アマチュア編入制度など、その「柔軟性」を示してきた連盟だが、
至極・勝負の世界である以上、実力が伴わなければ正会員になれないのは仕方ない。

これまで多くの実力ある奨励会員でさえ、涙を呑んで退会されていった方も多い。
正会員になる為には、男女を問わず、誰しも実力で勝ち取るしかない。
そこに「女性だから」といった好都合は存在しないのである。

反面、少なからず将棋界への関心や普及面でも一役担っている女流棋士に対して、
無給・無保険は、あまりに不遇とも言えよう。
ビジネスの世界では、女性層の集客を大変重要な点に位置づけている。
もし、女流棋士が存在していなかったら、将棋人口は今より確実に少ないだろうし、
その棋界への貢献度は、決して無視できないものである。
一案として、女流にもリーグ(順位)戦があるので、ある一定の上位棋士は「準会員」
とするなど、全体のスキルアップにもなるような、こんな制度はいかがだろうか?

昨今の男女情勢では、実力ある女性の台頭が目覚しくなってきた。
実力のある者は、男女を問わず、世間はどんどん認めていくべきである。
ただ、そうである以上、女性は最後まで女性である事を盾にすべきではない。

一般社会でも、まだまだ女性の不遇面も散見されるが、反面、女性の優遇面も存在する。
必ずしも、女性にとって不利ばかりの世の中ではないのである。

古くから「男女は同権でも、同質ではない」と言われる。
男女がお互いの「質の違い」を理解し、尊重しあえる世の中になって欲しいものである。

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「名人位」

第67期名人戦七番勝負は、羽生名人が通算6期目(歴代単独4位)となる
フルセットの末の防衛にて幕を閉じた。

一方の敗れた郷田挑戦者だが、森内名人戦に続きフルセットまで持ち込んだその剛力は、
まさしくA級棋士を代表される、堂々たる実力者と言えるだろう。

しかしながら最終局の終盤では、いささか迫力を欠いたような、
「郷田九段らしくない」淡白な内容だったようにも感じた。

別の見方で言えば、まず有り得ない事だが、ゴシップ好きな賑者に対しては、
「水面下の圧力」を想像させるかのような、どこか誤解を与えてしまいかねない、
不可解な指し口ではなかっただろうか?

個人的にも、以前に掲載した「助からないと思っても、助かっている」を
彷彿させるような、ギリギリの白熱した最終局を期待していただけに、
少しあっけない幕切れだったと言うのが、筆者の素直な感想である。

全棋士参加の最高棋戦である「竜王位」と、実力性の歴史に象徴される「名人位」は、
それぞれが最上級タイトルとは言え、その性質は違なるものである。

「竜王」がその年の最強者なら、「名人」はその時代の権威者であろうか。

世間一般では、「木登りの名人」や「ものまね名人」など、
比較的かるい雰囲気で繁用される「名人」という言葉だが、
こと将棋界に於いては、大変に重く、最高の威厳にあふれた敬称である。

先述した「名人は神に選ばれし者」論の賛否性は定かではないが、
歴史ある実力性の権威・象徴である事には間違いないだろう。

今後の「名人位」は、羽生名人がどこまで君臨を続けられるのか?
はたまた、次代の権威と象徴を示す者が近々に現れるのか?

まったく将棋界の未来には、興味が尽きないものである。


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名人戦 最終局!

とうとう最終局を迎えた名人戦七番勝負!

果たして、名人史に新たな名前が刻まれる事になるのか?
はたまた、名人が貫禄を見せ付けて、磐石な存在感を顕示するのか?
不謹慎だが、どちらが勝っても相当の経済効果が期待できそうである(笑)

封じ手予想も最終局。

筆者の「穴」狙いの予想手は、昨年の竜王戦以来まったく当たっていない。
ここらで「封じ手予想史」にも名前を刻んでおきたいものである。

▲7六歩が渡辺竜王推奨の一手。
飛車を回られた筋でもあり、言われてみればこう指したくなるところ。

他の先生方も本命と予想し、おそらく間違いないものと思われるが、
相手の角の引き場所で、かえって夜中に悩んでしまいそう?でもある。

筆者は「スグに打つ必要も無い」と欲張って、一旦▲3八飛と予想。
これなら羽生名人、開き直ってグッスリ休める?・・かな?

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「価値感」

人の「価値感」とは恐ろしいものである。

その人にとって興味や関心が無いもの、意味が分からないものなどは、
時として、愛好家にとっては悲劇的な末路を辿る事もある。

筆者が昔、麻雀狂いに陥っていた頃、知人より古い麻雀雑誌を譲り受けた事がある。
ダンボールいっぱいに詰め込まれたその雑誌は、主に昭和40~50年代のものばかりで、
牌譜を学ぶために頂いたのだが、古すぎて読みにくいし、何か汚らしい(笑)ので、
ダンボール詰めのまま、数年間倉庫の奥に放置していた。

その後、世間でちょっとした麻雀ブームがあった時である。

整理のために、久しぶりに出てきたその雑誌を捨てようかと迷ったところ、
「ブームに便乗して売ってみよう」と思い立ち、オークションに出品してみた。

すると、ものすごい入札の数から、たちまちに価格は上昇してゆき、
自分でも腰が抜けるほどの高価格にて落札されたのである。

まさに「捨てる神あれば、拾う神あり」とは、この事だろうか。
あやうく、お宝モノをチリ紙と交換してしまうところだった。。。
「これだけまとまった数の雑誌が入手できるとは思いませんでした」
とは、落札者の方の弁である。

写真は、愛棋家や駒の収集家には憧れの「赤柾」木地。
しかし、将棋や駒などに関心のない人にとっては、そのへんの製材所などに
山積みされたような、単なる木片でしかないのだろう。

この木片で、子供達が川で水切り遊びをしていても、興味のない大人達は
何とも思わないのも当然である。

人の「価値感」とは、まったく恐ろしい。。。
同時に「リサイクル」の大切さを学んだ出来事でもありました。

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【自己紹介】
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